少女部屋だより

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きみだけ夢色ラブ・ソング

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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 表紙より

きみだけ夢色ラブ・ソング

いちご文庫ほ01-5(双葉社

星野りかこ 著

野妻まゆみ 絵

1990年6月10日初版発行

 

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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 口絵より

久々にいちご文庫の紹介です。

好きだった先輩が2年間音信不通になった後にプロミュージシャンになっていた!というキラキラ要素MAXな小説です。

星野りかこさんの軽快な文章と、花ゆめ出身の野妻まゆみさんのかわいいイラストが楽しめる1冊です。

 

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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 4・5ページより

主人公まりかと先輩である飛悠(ひゆう)。

そして2人をとりまく様々なキャラたちですがパパの存在感がここにいないレベルで本当に薄いです。

休日出勤でいないかスイーツを買って帰ってくるとかしか出番がないのがある意味斬新でした。

 

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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 8〜11ページより

プロローグ。

純朴で優しかった音楽部の部長だった飛優。

卒業後もまりかの受験勉強を見たりと交流がありましたが、

まりかの高校入学後は会えなくなってしまいました。

一通の『ボクを忘れないで』という手紙を残して…。


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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 16〜19ページより

まりかは九段下にある高校の2年生になりました。

ノリのいい友達のブチと楽しくやっていますが、飛悠のことは忘れられません。

クラスの人気者の奥野クンがまりかに興味があるようで、

まりかも恋人を作るべきなのかと悩みます。

一方学校では、最近そばに紺のBMWが停まっていると噂になっています。

下級生の「いいな、あたしも、金持ち大学生のオトコがほしい」のセリフが強烈です。

 

まりかの家は目黒の環七沿いのマンション。

オペラファンのママに悩まされつつも元気にやっています。

この物語は華やかな都内で繰り広げられていきます!

 

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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 24・25・36ページより

ある時クラスメイトが読んでいた雑誌から飛悠が音楽活動をしていることを知ったまりか。

再会したカレは芸能界にいた…何も知らないまりかはショックを受けます。


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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 39・43ページより

そんな中まりかは奥野クンからデートに誘われます。

やっぱりデートは渋谷でロフトのWAVEですね!

この一文に1990年当時の空気が詰まっています。

気楽なデートを楽しんだまりかは奥野クンが相手でもいいかもと思います。

帰り道にまりかは酔っ払いに絡まれますが、とある若い人から通報があり難を逃れます。

神様がいるのだと、不思議にまりかは感動します。

 

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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 52〜55ページより

奥野クンとのデートの後に機嫌が悪くなるブチが気になるも、

まりかはクラスメイトのハシモトから飛悠のファンクラブに誘われます。

郵便払込票が当時らしくて懐かしいです。

ハシモトの言う飛悠の、真の理解者は言葉の響きこそ怪しいですが要は推し活ですね。

終盤まで彼女は純粋にファン活動に徹しているので安心して読めます。

九段下〜市ヶ谷の描写もありますが移転前の日テレが描かれています。

そしてミュージシャン憧れの地の武道館についても描かれます。

 

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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 61ページより

まりか、ブチ、途中で合流した奥野クンとで靖国通りを歩いていると、

ビルの前で女の子たちの集団を目にします。 

誰か有名人がいるのか気になりますが、ビルからは紺色のBMW

窓からまりかを見つめていた人は飛悠だった!

女の子たちを撒くように車は神田方面へと走り去ります。

そしてまりかは奥野クンをいい人だけど恋人としては見れない自分自身にも気づきます。


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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 88・89ページより

奥野クンに煮え切らないまま、ブチの奥野クンへの思いを悟ったりと気がきでならないまりか。

梅雨時期に傘を持たずに歩くまりかのもとにBMWが停まります。

そこにはゴルチエのサングラスを外す飛悠が!

オシャレに決めつつも2人の直接の再会です。

飛悠に家まで送ってもらうまりか。

高2の時に先輩のレコード会社の人へデモテープを送ったりしていて作曲活動に勤しんでいるうちに多忙になったと聞かされます。


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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 96ページより

飛悠は大学の経済学部に通っておりBMWでレポートを提出しに行きます。

経済学部らしい展開は後にあるので設定は活かされています!


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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 117ページより

ブチに自分の気持ちを打ち明けた後、奥野クンに別れを告げるまりか。

奥野クンは悔しがりますが、まりかにがんばれと言ってきます。

(奥野クンも飛悠も普通に良い人たちなので大体はまりかの勘違いと悩む描写で構成されます)

 

ある時飛悠はまりかの家のトイレを借りにきます。

その時同じオペラ好きとして意気投合する飛悠のマネージャーとママ。

久々に飛悠が家にいることにまりかは喜びます。

 

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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 140・152・153ページより

そしてハシモトから飛悠には恋人がいてガールズバンド所属のマリアではないかという噂を聞かされます。

失恋したと思い込んだまりかは美容院へ。

美容院にはなんとマリアもカットしにきています。

(マリアは普通にその時機嫌が悪かっただけでした)

やっぱり東京は芸能人に普通に会えるんです。

 

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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 157〜159ページより

その後勘違いと不安のコンボが決まった状態のまりかの怒涛の荒れっぷりが続きます。

本当に飛悠は何もしてなくてまりかが勘違いで暴れてるだけなのである意味リアルです。


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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 160〜163ページより

飛悠はそんなまりかを怒らずに冷静に受け止めてくれる懐の深い大学1年生(忘れてたけどまだ19歳)なので

コンサートのチケットを置いていってくれます。

読みながらまりか話聞けよと突っ込みたくなりますが、

自暴自棄になると誰でも陥りそうだなと思います。

久々に会った奥野クンから本当に好きだから不器用になるんだと言われ、素直になることを決意するまりかはコンサート会場の渋公へ向かいます。

この時も奥野クンはがんばれと言ってくれるので本当に良い人です。


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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 183・188・189ページより

コンサートに間に合ったまりか。

終了後に楽屋に行き、マリアとの誤解も解けます。

そして飛悠からは経済原論を渡されます。

まさかの経済原論には国立劇場で待つとの手紙が…!

 

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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 196・197ページより

お互いの気持ちを確かめ合う2人。

守ってやりたいという気持ちから、

飛悠はそっとBMWをつけたりまりかを陰ながら見守っていたことが判明。

飛悠の武道館への憧れも描かれます。

そして彼は全国ツアーへと旅立ちます。

もうまりかの心は大丈夫です!

 

果たして飛悠は武道館に立てるのか?

まりかと飛悠の恋の行方はどうなる!?

90年当時の都会の空気を味わいつつ楽しめるラブストーリーです!

 

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きみだけ夢色ラブ・ソング(双葉社) 裏表紙より

久々にいちご文庫を紹介したら長くなりました。

なのでこの手のは今みたいな連休とかのゆとりがないとできません…笑

ちょっと懐かしい都内の空気を味わいつつ読むのは本当に面白かったです。

これだからかわいい小説を紹介するのはやめられません!

また文庫もまったり集めていきたいですね◎

 

きみだけ夢色ラブソング (いちご文庫 ほ 1-2)

 

経済原論 (岩波文庫)

経済原論 簡約版―資本主義経済の構造と動態