あたしをサンタに紹介してよ
レモン文庫(学研)
西崎めぐみ 著
紫垣まゆみ イラスト
1989年12月20日発行
クリスマスも直前ですね!
平成初期のそんな時期に発刊されたのがこのレモン文庫になります。
前に紹介したいちご文庫もバブルの香りが濃かったですが、
こちらもキラキラ感が強くこの時期には最高に楽しめるので紹介します。
創刊当時のレモン文庫はさいとうまりさんのレモンちゃんの
おしゃれなブックカバー(カバーの裏面に印刷されています)が付いていたり、
口絵にも登場していたりとレモンちゃん色が濃いめでした。
後年のレモン文庫にはカバー裏は白だったのでこの仕様がいつまであったのか興味深いです。
紫垣まゆみさんのイラストが華やかでクリスマスにぴったりですね!
あらすじが割ととんでもないですが本当にこういうストーリーです。
こんなぶっ飛んだお話を楽しめるのも少女小説の特権ですね。
キャラ紹介と舞台となるときめきヨコハマデート♡マップ!
偶然なのかこのブログで取り上げている少女小説の横浜の登場率が高めですが、
港町でおしゃれで都会的な雰囲気のある横浜は定番人気のデートスポットのため
ティーンの憧れが反映された結果なのだと思います。
クリスマスイブの日。
占い大好きな主人公の美田涼は親友の花村小菊と女同士で遊ぶ約束をしていたが、
なんと小菊は涼の好きな男の子である黒岩勇太にデートに誘われたため一人で過ごすことに。
そして涼の家族は抽選で当たった北海道旅行に行ってしまい不在に…!
そんな不幸な彼女が不思議な占い師スノープリンセスに出会い、
それは幸福への前兆だと告げられます。
さりげなく涼の読む雑誌にピチレモンやレモンに混じり
ライバル誌だったマイバースデイが挙げられているのが面白いです。
スノープリンセスと別れた後、
涼は港の見える丘公園で300万円の入った麻袋を拾います。
まさかサンタからのプレゼント?
さすがにまずいので交番に届けようとしたら家出少女に間違われて返されてしまいます。
その後涼は同じリョウという名前の男の子の領に出会います。
家出してきたという彼とイブを一緒に遊ぶことに。
そして300万円で豪遊します。
服にエステに美容室にジュエリーショップ(領はここで万引きをします)にホテルのレストランでフレンチに
スイートルームでの宿泊にとキラッキラに過ごします。
ポニーテールからソバージュに、
華やかにレディになる涼の姿は憧れ要素ですね!
ちなみにホテルではほっぺにキスで終わっているため安心して読めます。
終盤までヒロインの拾った300万使い込みについてヒヤヒヤして読んでいましたが笑、
涼は度々罪の意識に苛まれたり、
最後には領の正体と共にお金の謎も明かされるので大丈夫です。
とりあえずヤバい出どころのお金ではないのでご安心ください。
(私は本当にヤバい出どころだったらどうしようと無駄に心配していました笑)
その後小菊からイブの日に勇太から好きなのは涼だと言われます。
玉のこし同盟を作るくらいの友人関係ですが、
小菊には人の彼氏を奪っては振っていくという厄介な癖がありました。
友人関係が破綻する案件ですが小菊は彼女なりに涼を気遣ったり取り持ったりをしています。
そして領は涼のいるアリスの丘学園に転入してきます。
なんと字は違えど同じミタリョウでした。
小菊はそんなイケメンの領に目をつけます。
さらっと小菊のスケバンな過去も語られます。
エスカレーター式で高校受験のないアリスの丘学園には
両思いリングなる指輪の習慣があります。
ゆえにバレンタインは本気の行事です。
そしてリングの格差が残酷です(さすがバブル期)
なのでこの物語のクライマックスはバレンタインになります。
1月の寒い日、涼は勇太にデートに誘われます。
赤レンガ倉庫で待ち合わせです。
寒い中勇太は30分前から待っていました。
携帯のない時代だから成せる技かもしれません。
勇太は純朴タイプなので個人的にエリートタイプな領よりも好きです。
この時勇太の小菊への思いもほのかに描かれます。
その後2人は関内のライブハウス「トコロ天」に向かいます。
バンドブームの頃のデートを体感できます!
(ムキムキ少年帯に不意打ちを喰らわされました)
楽しいデートでしたが涼は領を、勇太は小菊が気になり、
涼は勇太への返事をバレンタインにすることにします。
その後実は領の家が古いアパートで、
母子家庭であることを知った小菊が嘆きます。
(小菊は自身が母子家庭なので玉の輿を本気で狙っていました)
ゆえに涼が諌め、間に入った悠太はそんな小菊を庇います。
ここで勇太の小菊への気持ちに涼は気付かされます(つらい)
バレンタイン当日。
赤レンガ倉庫で涼は勇太と待ち合わせます。
そしてお互いが自分の本当に好きな人を言うと、
勇太は涼に3時に領のいる港の見える丘公園に行くように言います。
あと10分しかありません。
10分で行けと言われたら焦る距離ですね!
そして全速力で駆け抜けます。
領への想いをはっきりさせつつ。
領くん、好き!
そして、もうひとつは、もうひとつは。
いっしょに交番に行って!
なかなかない愛の気持ちですね。
罪悪感が良心をしめつけるのがリアルです。
(この構図はティーンの憧れデートスタイルなんだろうなと思います)
領と再会することができ、彼の正体が判明し、イブの日の種明かしがされます。
果たして2人のリョウはどうなるのか?
バブルの横浜を堪能できる本でした。
イブ当日は思いっきり仕事な自分には楽しい横浜体験でした。
バブル当時の憧れ要素って眩しくてやはりいいなと思います!