YOKOHAMAポケベル同盟
レモン文庫(学研)
著者 神崎あおい
イラスト 岩本真樹
1995年5月1日発行
学研が出していた少女小説レーベル・レモン文庫の本です。
当時全盛期だったポケベルがキーアイテムの平成レトロ小説です。
作者は講談社少女漫画原作賞出身で漫画の原作やティーンズハートレーベルで発表されていた神崎あおいさん。
イラストはピチ・ブックスでもお馴染みの岩本真樹さん。
女子高生の三種の神器とありますがポケベルの他は時代によって様々あるみたいですね。
ルーズソックスやシステム手帳、名刺、口紅など候補は色々あります。
この本の面白いところは執筆にあたり
NTTドコモの協力で当時実際に販売されていたポケベルが使用されていることです。
使用されている機種 NTT DoCoMo カードV
NTTドコモのポケベル カードV CM 1994年 - YouTube
別機種ですがドコモのポケベルのプレゼント企画もありました。
ポケベルのサービス終了から数年経った今ですが、
この本でリアルなポケベルライフを追体験できます。
数字ゆえに必然的に暗号ネタになるのが面白いですね!
ポケベル+岩本真樹さんの華やかでキュートなキャラたちが横浜を舞台に青春します!
横浜のオサレ感も堪能できます。
高校に入学したばかりの主人公美浜こなみは今村弥生と鹿山伊都子と仲良し三人組でポケベルを持ちます。
こなみは入学式で突然見知らぬ相手からのメッセージを受け取る…その主は別の高校のキムタク似の伊集院麗!
ひょんなことからこなみは麗にファーストキスを奪われてしまいます。
ラブコメの王道的導入ですね!
しかしこの麗の性格が曲者でラブコメよりもサスペンス寄りの展開になります。
まあヒロインからしたら本当冗談じゃないですが!笑
高校で再開した幼馴染の巽純一と小早川真二も加わり、
横浜でポケベルを使った暗号ミステリーツアーをすることに。
ポケベルの使い方の説明もあったりで楽しいです。
しかし麗が邪魔をしてきてこなみと弥生の友情に亀裂が入ったりします。
曲者な麗ですが本当に曲者です。
僅か一瞬にしてこなみの友達たちのポケベルのナンバーを暗記します。
そして麗と同じ高校に通う桜沢美紅が出入りしたりと退廃的に生きています。
しかし麗の心にはこなみが住み始める…まあ少女漫画的王道で純一や真二もこなみに矢印を向けます。
無自覚なままでこの作品のメイン男子全員からハートを奪っているヒロインこなみさん。
そんな男子からの矢印独り占めのこなみを良く思わないピンクハウスを着こなすあざとかわいい系弥生。
何気に弥生がいちばん好きかもしれません。
彼女は麗が好きなあまり麗に利用されることになります。
(麗絶許)
麗はまあ個人的には絶許なのですが
ここまでになってしまった理由は描かれてます。
彼の母は有名デザイナーで3年前に離婚して家を出ています。
家庭をめちゃくちゃにされた過去のある麗は
幸せそうなこなみの大事なものをめちゃくちゃにしたいと宣ってきます。
弥生はポケベルデート嬢にされていました(怖)
男とデートをしてお金をもらう仕事らしいです。
ホテルの前で偶然見かけた伊都子がみんなにポケベルで連絡をして
弥生は未遂で助かります。よかった。
相手客(ロ●コン男)のビジュアルがこの姿なのは
当時のオタクへの風当たりの強さが窺えます。
そして徐々に明らかになるポケベルデートクラブの実態…!
電話ボックスのピンクチラシといいデートクラブといい
女子高生ブーム当時にありえた生々しい香りにくらくらします。
援交とかがすごく問題視されていた時代ならではですね。
そして麗の家に警察が入ります。
しかし不自然なほどの手がかりの数々に麗は真犯人ではないことが分かります。
そして美紅が立ちはだかる…!
この風格やえげつなさにラスボスとしか思えません(15歳です)
こなみ大ピンチ!
スリリングな展開が多く麗は所業的にいつか女の子から刺されそうだと思ってましたが刺されます。
半ば事故ですが。
麗の生死は?事件の顛末は?
恋の行方は?
気になりますが最後はちょっとビターな感じで終わります。
ビター系ハッピーエンドかなと思っています。
個人的には終始こなみには
麗よりもはるかに常識人で正統派にかっこいい純一や真二を推したかったです笑
デートクラブに流血にと穏やかではなかったので最後に落ち着く90年代ネタページを代わりに…!
セーラーマーズのぬいぐるみに癒されます!
所々入るネタが懐かしくて楽しい1冊です◎